歯周組織の改善
石神井公園駅北口徒歩1分、歯周病専門医/指導医、インプラント専修医、医)竹和会 たけのうち歯科クリニックの竹之内です。当院は、歯周病・インプラント・審美歯科・予防歯科に積極的に取り組んでおります。
今から約2年半前に、「歯肉の多くの箇所から出血する」 という主訴で来院された患者さんの口腔内です。
歯周病治療には必須の6点法(1歯につき6ヵ所を測る)による歯周ポケット測定を行うと、所々に6~8mm程の歯周ポケットが認められ、
測定時にポケットから出血した部位(BOP)は、168箇所(6点×28歯)中116箇所であり、その割合は約70%という数値でした。
ポケット測定時の歯肉からの出血は、その部位に炎症が起きていることを意味し、今後さらに歯周病が悪化する恐れがあります。
論文などでは、歯周病をコントロールするためにはBOPが20%以下が望ましいというものや16%以下が望ましいというものがあり、70%という数値はかなり高いと言えます。
線維性に富んでいる歯肉なので、あまりブヨブヨしている感じを受けないと思いますが、見た目だけで判断するのは危険です。
下顎前歯に目をやると、1本が外側に出て上下の前歯の噛み合わせが反対になっており、歯肉の位置も著しく下がっているのがわかるかと思います。
歯の動揺(揺れ)も2度と強く認められました。
そこで、口腔内全体のプラークや歯石の除去を行うことで炎症のコントロールをし、下顎の前歯には咬合調整(噛み合わせの調整)を行いました。
難しい治療をしたわけではなく、基本的な治療を確実に行った結果、深い歯周ポケットや歯肉からの出血は改善し、歯周組織の治癒が認められたので、メインテナンスへと移行しました。
治療終了から現在まで、3ヵ月に1度のメインテナンスを行っております。
下の写真は先週メインテナンスにいらした時のものですが、著明な歯肉の炎症は認められず、健康的な状態が維持されています。
プラークコントロールも良好で、BOPも17%と安定しており、歯周病の再発等は認められませんでした。
初診時に外側に出ていた下顎前歯を見ていただくと、初診時には大分下がってしまっていた歯肉が、上の方に回復(クリーピング)してきているのも確認できます。
患者さんの適切なプラークコントロールと定期的なメインテナンスを行うことで、歯周病の再発を防ぐだけでなく、このような歯肉のレベルの改善が認められることもあります。
患者さんも写真を見て、その変化に驚いていました。
歯肉や歯槽骨といった歯周組織の反応はとても興味深いものです。
これからも経過を観察しながら、患者さんの口腔の健康を保てるようサポートしていきたいと思います。
カテゴリー:歯周病治療 ,治療例 投稿日:2014年10月1日