重度歯周病に対する治療 ~フルマウスディスインフェクション~
石神井公園駅北口徒歩1分、歯周病専門医・歯周病指導医、インプラント専修医、医療法人社団 竹和会 たけのうち歯科クリニックの竹之内です。当院は、歯周病・インプラント・審美歯科・予防歯科に積極的に取り組んでおります。
歯周病(歯周炎)は、歯の周囲の組織破壊を引き起こす炎症反応であり、臨床的変化としては、歯周ポケットの形成や歯槽骨の吸収などがあります。
この炎症反応は、歯肉辺縁や歯周ポケットの中に存在する細菌によって引き起こされるものであり、感染に対する身体の防御反応ということになります。
ですから、歯周病治療では、この感染をコントロールすることで疾患の進行を止め、歯の周囲組織がそれ以上失われないようしていきます。
下のレントゲンの患者さんは、40代の方ですが、かなり歯周病が進行している状態で来院されました。
5年程前まで喫煙をされており、その影響もあると考えられますが、40代でこのように重度の歯周病になるというのは、炎症反応が過剰に起きてしまうタイプであったり、身体の防御能力に何か原因があるのかもしれません。
歯周ポケット内には大量の歯肉縁下歯石が付着しており、歯周ポケット測定時の歯肉からの出血はほぼ100%の状態で、歯肉の炎症はとても強い状態でした。
当院では、まず精密検査を行い、現在の状態や今後の治療について十分説明を行った後に治療を進めていきますが、
この患者さんに対しては、まずはプラークの停滞を招く多量の歯肉縁下歯石をしっかり除去しないと、炎症反応の改善は図れないと説明し、スケーリング・ルートプレーニングの徹底が重要であるとお話しました。
スケーリング・ルートプレーニングは保険治療で行うことができますが、保険治療には実際の臨床にはそぐわないルールもあり、この患者さんは重度の歯周病に罹患しており短期間での集中したスケーリング・ルートプレーニングが有効であると判断し、患者さんの了承を得て、自費治療でのスケーリング・ルートプレーニング(全口腔一括法・フルマウスディスインフェクション)を行いました。
実際には、1週間で2度来院していただき、十分な時間を取って、すべての歯のスケーリング・ルートプレーニングを行いました。
下の写真は、フルマウスディスインフェクション後のものです。
プラークコントロールを徹底し、歯肉縁上および縁下歯石をしっかり除去することで、かなりポケットも改善して出血率も19.7%まで減少しました。
保険治療であってもやることは同じですが、フルマウスディスインフェクションを行うことで、より早期に歯周病の改善を図ることができます。
今後は、ポケットや炎症の残存している部位に対して、再度スケーリング・ルートプレーニングもしくは歯周組織再生療法を予定しています。
歯肉縁下のスケーリング・ルートプレーニングは、目で見ることができない場所を、手指の感覚や音などを頼りに行っていきますので、経験やテクニックが必要になります。加えて、歯肉縁下歯石は硬く、歯の一部に入り込んで付着しており、簡単には除去できません。
ですから、多量に付着している場合は除去に時間がかかるため、来院回数も多くなります。
そうならないためにも、日頃からメインテナンスすることが大事ですが、もし検査で付着が疑われたら、信頼できる歯科医院でしっかり除去してもらいましょう。
カテゴリー:歯周病治療 ,治療例 投稿日:2019年9月11日