抜歯をする前に(歯の移植)
石神井公園駅北口徒歩1分、歯周病専門医/指導医、インプラント専修医、医)竹和会 たけのうち歯科クリニックの竹之内です。当院は、歯周病・インプラント・審美歯科・予防歯科に積極的に取り組んでおります。
右下の大臼歯部(メタルクラウンが装着されている3本の歯)に問題を抱えている方です。口腔内写真を見ると、歯肉の炎症も著しい状態です。
診査をすると、第2大臼歯(奥から2番目)と第3大臼歯(1番奥の親知らず)は、根の病気と歯周病が合併している状態で、周囲の骨も大分吸収していました。
また、第1大臼歯には、根尖病変(根の病気)が認められました。
診査の結果、第2、第3大臼歯は予後不良と判断し抜歯、第1大臼歯は根管治療を行う計画を立案しました。
計画を立てたら、まず患者さんに現在の状態と今後の治療について説明し、了承を得てから処置を進めていきますが、抜歯をする必要がある場合には、抜歯後の欠損部をどのように回復するかによって、抜歯時の対応が異なることがあります。
今回は、第2大臼歯の抜歯後は、反対側にある親知らずを移植することで噛み合わせなどの機能を回復することになりましたので、先に第3大臼歯の抜歯と第1大臼歯の根管治療を行い、第1大臼歯の治療経過を確認した後に第2大臼歯を抜歯し、同日に移植をすることにしました。
抜歯と同日に移植をすることで、外科処置の回数を減らすだけでなく、抜歯窩(抜歯した所の穴)が存在しているため、移植床の調整がしやすいというメリットがあります。
下の写真は、移植するために抜歯した第3大臼歯(親知らず)です。
下の写真のように、予後不良歯を抜歯した後の抜歯窩を調整して、
親知らずを移植し、縫合糸にて固定を行います。
レントゲン写真で一番左の歯が移植した歯です。
移植後は、再根管治療を行い、テンポラリークラウン(仮歯)を装着して数ヵ月経過を観察した後に、クラウンの装着を行いました。
移植歯を含めた両側の4本の大臼歯には、ジルコニアクラウンを装着しています。歯の移植に係わる治療(歯の移植、根管治療、クラウン)のすべてを自費治療で行っています。
移植してから2年半経過していますが、現在のところ良好に維持されていると思います。
歯の移植は、ドナーになる歯が存在することが不可欠ですし、あったとしても歯の形態や欠損部の状態に適合するかどうかなど、インプラントよりも制約が多いのが特徴です。
しかしながら、天然歯であるということは最大の利点であり、歯周組織の安定性や抵抗性、管理のしやすさなどを考えると、インプラントに劣らない点も数多く存在します。
歯の移植にかかわらず、インプラントやブリッジをする場合でも、抜歯をする際にその後の治療をする上で行った方がいい処置があります。
抜歯をした後に考えるという方もいらっしゃいますが、可能であれば、事前に決めておくことも、その後の治療を考えると必要なことだと思います。
カテゴリー:治療例 ,歯の移植 投稿日:2020年2月16日