差し歯の脱離 ~防ぐために行うこと~
石神井公園駅北口徒歩1分、歯周病専門医/指導医、インプラント専修医、医)竹和会 たけのうち歯科クリニックの竹之内です。当院は、歯周病・インプラント・審美歯科・予防歯科に積極的に取り組んでおります。
前歯の差し歯が取れたといって来院される方の多くが、下の写真のような状態になっていることが多いです。
これはどのような状態かと言うと、クラウン(被せ物)ではなく、コア(土台)ごと外れてしまっており、歯根だけが残っている状態です。
脱離の原因は、コアと歯根をつけていたセメントが弱くなったことによるものだけでなく、境い目からのむし歯が進行して歯が弱くなったり、元々構造的に歯が弱かったりしたところに、負担がかかったことで歯質が破折して脱離するなどもあります。
写真の方は、お子さんの頭が当たった時、前歯で硬い物を噛んだ時に、クラウンがコアごと外れたとのことでした。
当院では、歯が割れたりしないように「噛む時に注意していただきたい食べ物リスト」を必要な方にはお渡ししておりますが、前歯に差し歯が装着されている方は、この時期でしたら硬いアイスなどには注意してくださいね。
脱離した場合、残っている歯根の状態が良好かつ脱離した物の適合が問題なければ再度装着することが可能ですが、難しいことが多いです。
その場合、歯根が割れたりしていなければ、むし歯や歯質の薄い部分を確実に除去した後に、コアとクラウンを新たに作製することになります。
しかしながら、脱離してくる症例の多くが上の写真のように歯質が脆弱であり、悪くなっている部分を除去してコア・クラウンの作製をすると、下の図bのような状態になってしまいます。
図aのように、クラウンが高さと厚みのある歯質を取り囲むことにより、歯質の破折抵抗性を高め(フェルール効果・帯環効果・たが効果)、コアやクラウンの脱離も防止することができます。
ですので、長期的な安定を目指すためには十分な歯質が必要になりますので、必要に応じて、歯肉に埋まっている歯質を出すために歯を矯正的に引き出したり、外科的に露出させる歯冠長伸展術を行うことがあります。
下の写真は矯正治療により歯を引き出している(挺出)ところです。(普段は外側に仮歯を装着しておりますので、そこまで目立ちません)
挺出の治療費は55,000円です。別途、毎回の調整費に数千円かかります。期間は3ヵ月程です。
今回のブログでは、保存的な治療について書かせていただきましたが、差し歯が土台ごと脱離した場合、歯根が完全に割れていて抜歯せざるを得ないことも多いです。
ご自身の歯を守るためにも、強い力をかけ過ぎないように生活していただき、十分な歯質を確保して治療する、状態を考えず外れたからとりあえずつけ直すといったことは避けた方がいいと思います。
カテゴリー:虫歯治療 ,矯正治療 投稿日:2021年8月14日