マイクロスコープの有用性 破折ファイル除去
石神井公園駅北口徒歩1分、歯周病専門医/指導医、インプラント専修医、医)竹和会 たけのうち歯科クリニックの竹之内です。当院は、歯周病・インプラント・審美歯科・予防歯科に積極的に取り組んでおります。
当院には4台の診療用チェアーがあり、そのうちの2台にマイクロスコープが設置されております。
精密な治療が要求される歯科診療において、マイクロスコープの有用性はとても高いですが、ただ単に視野を拡大したいということだけであれば、ルーペでも十分かもしれません。
マイクロスコープとルーペの大きな違いは、ルーペでは術者しか見ることができない情報を、マイクロスコープでは、術者・患者さん・アシスタントスタッフのすべてが同じ情報を共有することができるという点です。
診療中は、術者が見ている情報をアシスタントもモニターを通して見ることができますし、画像を録画しておけば、行った治療内容を診療後に患者さんに対して動画でプレゼンテーションすることができるのです。
下のレントゲン写真は、下顎第一大臼歯の近心根(写真では右側の歯根)に、根管治療で使用するファイルが破折し、一部は歯根の先端から飛び出ている状態が認められます。
このような場所で破折しているとルーペで確認することは非常に困難であり、マイクロスコープで対応するしかありません。
下の写真はマイクロスコープの画像ですが、根管内に一点光っている所が破折しているファイルです。
除去は、ファイルと歯質の境目に、非常に細い器具を当てながら、徐々に隙間を作り、弱い振動を与えて揺らすことで可能となります。
ファイルに器具を当て続けてしまうと、ファイルが途中から折れてしまいますし、歯質を削り過ぎてしまうと、歯が薄くなってしまいますので、マイクロスコープを高倍率して注意しながら行います。
下の写真はファイルが外れたところです。
1㎝程の大臼歯の中において、このぐらいにしか見えませんので、どれだけ細いものかおわかりいただけると思います。
除去したファイルです。このように表面がギザギザしており、歯に噛みこんでいることが多いので、除去するのも簡単ではありません。
レントゲン写真でも除去を確認することができました。
今後は、根管口付近に穿孔があるため、その部分の閉鎖および根管内の清掃を進めていく予定です。
前述のとおり、マイクロスコープによる診療では、この治療過程をすべて患者さんにみていただくことができるのです。
動画を見た患者さんは、皆さん口を揃えて、「凄いですね」「こんな風にしているのですね」と驚きの声を上げられます。
私達の取り組みや思いを、患者さんに共有していただくことは、とても嬉しいことですし、モチベーションにも繋がります。
ルーペでは、ここまで伝えることはできません。
今回のケースでも、除去できた時の画像を見た患者さんはとても喜んでくださり、ご自身のスマホで画像を撮影していました。
このような素晴らしい機器が当院には2台ありますので、これからも様々な場面で活用し、患者さんに納得して治療を受けていただけるよう取り組んでいきたいと思います。
(マイクロスコープによる根管治療は、基本的に自費診療になります)